猫の表情


は犬に比べると、感情の起伏が顔の表情にあまり表れません。
理由は、犬の祖先などは草原などで群れをつくって狩りをしていたのに対し、猫の祖先は一匹ずつ森や林などにひそんで、獲物にしのびよって狩りをしていたという生活様式のちがいからです。
猫は群れで暮らさず、単独で狩りをするため、親子や兄弟以外、猫同士、お互いの顔がはっきり見えるほど近づいて、大げさな顔の表情で親愛の情を表現する必要はほとんどありません。
家族同士で甘えることを別にすれば、猫同士が自分より強い仲間に「服従」の表情を見せることもありません。
発情期や子育て中以外の接触は“獲物”だけという猫にとって、相対的に「表情がとぼしい」ことは理にかなっています。

つまり、猫同士、顔を合わせずにすむなら、それが一番、というのが付き合いの基本、生き方です。
一方、感情を強く表現して、からだや顔全体で脅しをかけるのは、自分のなわばりや家族を守るために相手を遠ざけようと必死になるときだけといえます。
なので、ほかの猫が自分に近づいてこないよう猫は毛を逆立てたり、耳をうしろに伏せ、口を開け、牙を見せ、おそろしい声をだしたりして、からだ全体あるいは顔全体で「あっちへ行け」というメッセージを伝えているわけです。
そのため、静かな「無表情」は、むしろ友好のしるしといえるかもしれません。

猫の友好関係をしめす動作でよく知られているのは、向き合った猫同士が、互いに目を開けたり、閉じたりすることです。
じっと目を見つめるのは敵対行為ですが、まったく見ないのは相手に興味・関心がないことでもあります。
観察によると、仲がいい猫同士では、1分間に1.8回見つめ合い、仲があまりよくないと、見つめ合う回数はそれより少なかったそうです。
さり気ない表情の変化で互いの感情を伝え合うのが、猫流のコミュニケーション。
実はけっして無表情ではありません。さらに、親子や兄弟などもっと親密な関係になると、からだをふれ合ったり、ゴロゴロとのどを鳴らしたり。親愛の情をかわす、そんな猫たちのしぐさに心を動かされない人はいないでしょう。
互いに見つめ合い、まばたきをするのは友好のしるなのです。

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