猫の歴史、インドへ
猫がどのような経路でインドに伝わったのか定かではないのですが
経路については、ナイル流域からシリア、ペルシア経由というルートの他、紅海からアラビア海に出る商船航路も考えられます。
これは前項で書いた通り、インドの猫も古代エジプトの家猫が移り住んだものという前提での話です。
一方で東洋の猫の起源を別系統とする説も亜流ながらあるにはあります。
東洋の猫にもっとも近縁の種をジャングルキャットとする説で、このジャングルキャットは中近東から東南アジアにかけて棲息し、家猫の多くいる地域と重なるといいいます。
猫はいつ頃からインドで飼われるようになったかは『マヌの法典』で猫に関する記述がはじめて見られます。
それより古い宗教文学ヴェーダにも、多くの鳥獣が描かれている釈迦の涅槃図にも、猫の姿はありません。
猫の描かれている涅槃図は、後年日本で描かれたもののようです。
『マヌの法典』にはいくつかの章にまたがって猫についての規定が記されています。
しかし、残念ながら猫は忌むべき存在として不浄視されていたようです。
曰く「猫のごとく振舞う者には、口頭の挨拶すら敬意を払うべからず」、
「水すら与うべからず」。
「猫のごとく振舞う」と名指しされた猫は「貪欲にして美徳を誇示し、偽善にして世人を欺き、悪事に余念なく、人を誹謗する」
…ということになっているようです。
インドの『猫』の語源は『鼠』+『食う』の合成語だとされているから、もともと猫は鼠を捕る益獣として移入されたのだと考えられます。
特に白猫は夜間、鼠を追い払うので、月の象徴として尊ばれていたというのですが
それがいつの間にか、悪徳の権化と化してしまいました。
後にヨーロッパや中国でも歴史的に同様な現象が起こります。
ちなみにイスラム教の創始者、マホメットは無類の猫好きだったそうで、イスラム教の普及している地域では、猫は優遇されていたようです。