猫の歴史、中国へ
猫の評価の乱高下は、ヨーロッパ、インドにとどまらず、中国でも見受けられます。
インドの仏教が中国に伝わった際に、仏典を鼠害から守るために一緒に移入された猫は、養蚕の役に立つこともあり、多いに珍重されました。
五穀豊穣の不思議な力があるさえ思われていたようです。
ところが、随の時代(589〜617AD)には、早くも猫鬼という妖怪が物語に登場します。
人を殺傷したり、財物を奪ったりする悪者としてです。
これはもちろん架空の物語ですが、
光りに反応してスリット状に変化する目や、静電気を帯びて青光りする毛など、実際の観察からも猫に魔性を見るようになり、さまざまな言い伝えや「金花猫」などの怪奇談を生むことになりました。
金花猫は老猫が化けたもので、月光を吸って怪異をなし、美男、美女に化けるという。
この他、猫は老いると人間のことばを話し、歌を歌う、猫は妓女の生まれ変わり(日本でも芸者を隠語で猫と呼ぶ)などの伝承もあります。
そして黒猫を殺せば祟る、瀕死の病人や死人に猫を近付けるな、といった禁忌も生まれました。
このように猫を魔性のものと見る傍ら、鼠を捕る益獣として猫を考察したものも相当数ありました。
益獣としての猫の理想型は
1)鼠をよく捕り
2)鶏を捕らず
3)寒がらない
ということだったようです。
この条件にあう猫の見分け方を記した文献も『相猫経』をはじめとして数々生まれ、やがて猫の研究家、黄漢によって猫に関する文献の集大成である『猫苑』上、下巻(1852年)が編纂されました。
上巻には、種類、形相、毛色、霊異の4編が、
下巻には名物、故事、品藻の3編が収められています。
これによると中国の猫の理想型は、顔が丸く、体は短く、後肢が高く、尾は長く、叫ぶような声を出す猫だそうです。
毛色は純色が良く、中でも純黄が一番、続いて純白、純黒の順となります。
生まれは冬がよく、食べ物はキスが最上とされていました。
中国の占星術においては、猫はなかなかの評価を得ているようです。
猫は、頭の良さ、平静さ、そして涙の象徴とされ、平穏で安全な生活、女の憂愁、男の賢明などを表すといいます。